TraveLWithDog vol02
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20Winter 2015株式会社フェリーチェ 株式会社トラベル・ウィズ・ドッグ代表取締役社長 中村貴徳インタビュー[前編]Takanori NAKAMURA始まりは、亡き母から託された1頭の愛犬からでした。ペットと旅することが当たり前といわれる未来を目指して。愛犬のために製作した特注ペットカート(後のマザーカート)に注文が殺到―中村さんがペットに関わるお仕事を始めるきっかけは、どのようなものだったのでしょうか? 今から15年前、私の母は癌に侵され壮絶な闘病生活を送る日々が続いていました。母は、私が病院へ見舞いに行く度に「大将(母が溺愛していた愛犬の名前・シーズー犬・男の子)は元気にしている?」と愛犬の心配ばかりをしていました。やがて病気も進行し、死期を悟った母親は『大将を世界一幸せにしてあげてね』との遺言を私に残し、56歳という若さでこの世を去りました。 当時私は30歳、年に2回行く妻との海外旅行が何よりも楽しみで、親孝行など全くできる男ではありませんでした。しかし母の死をきっかけに、私ができる唯一の親孝行は、母が託していった愛犬・大将を、世界一幸せにすることでした。 しかし、私たち夫婦が海外旅行に行くということは、大将を檻の中に入れて留守番をさせるということ。もし母が生きていたら「大将を檻に入れて出かけるなんて!」と相当怒られると直感した私たち夫婦は、これを機会に海外旅行は諦め〝大将と日本一周の旅をしよう!〞と決意したことが、今の道を歩き始める最初の一歩となりました。―愛犬と日本一周の旅なんて素晴らしいチャレンジでしたね。 今でこそ、ペットを連れて旅行に行くことは珍しいものではなくなりましたが、当時、ペット連れ旅行はあまり歓迎させるものではありませんでした。観光地に行っても「犬はダメ!」と言われ、観光名所にはほとんど入れず、またその周辺を散歩しているだけで、後ろから肩をたたかれ「あそこにうんちが落ちている、お前のところの犬のだろ!」と言われてみたり「こんなところに犬なんて連れてくるな!」と怒鳴られたり、良いことよりも悪いことの方が多かったかもしれません。―そんな中村さんが、旅を継続できたのはなぜですか? 大将と本格的に旅を始めるうちに、気が付けば彼の年齢も14歳を迎えていました。それまで元気に歩き回っていた彼も、年を重ねるうちに長い距離を歩くことが辛くなり、それがきっかけとなり、ホームセンターで販売されていたペットカートを購入したのでTWD Special Interview
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