TraveLWithDog vol06
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Winter 201611どん増えていくと思いますよ。中村 私は、飼い主側も認識を変えていくべきだと常々感じています。例えば、宿泊料1つとっても、泊まるのに犬1匹に対して1万円かかるとなると、「え?ペットに1万円もとるんですか!?」となる飼い主がたくさんいます。日頃は家族だと言っているのに、都合のいいときだけペット扱いする。通常の人間だけの宿泊よりも、ペットを一緒に泊めるほうが、宿側のリスクも当然高いのだから、ペット同伴の方が高くて当然だと私は考えています。星野 受け入れる側と泊まる側、両方の認識の変化が必要ということですね。中村 はい。なので、TWDはサポーターズクラブを立ち上げ、飼い主に「何かを要求するなら義務を果たそう」と呼びかけています。星野さんのところのお客様はどうですか?星野 星野リゾートにご宿泊いただく方のペットは、しつけがよくされていることが多いですね。受け入れる側としては、ペットは全部まとめて良い悪いではなく、しつけがいき届いている犬はウェルカム、そうではないペットはご遠慮いただくというように、個別に認識していくことが必要なのかもしれません。中村 今後、星野さんが展開するすべての宿で、ペットと一緒に泊まれるような日が来ることはあり得ますか?星野 既存の施設を運営しているケースは構造的に難しい面もありますが、新築の施設は出来る限りペット対応していこうと思っています。新しい取り組みもしていまして、これまでは、スタンダードな部屋をペット連れのお客様にご用意していましたが、「界 鬼怒川」では最も良い部屋をペット同伴可能な部屋にしました。中村 それは大正解だと思います!(笑)「ペットが居るから部屋が悪い」そんな声を私もよく耳にしますが、それは全く逆なのだと常々感じています。星野 良い部屋をペット同伴可能に することが、お客様の満足度と稼働率、あと収益性を高めることが確認できれば、ペット可能な部屋でも快適で良いお部屋が増えていくと思います。今、ホテルは「所有」と「運営」で分離されています。ペットを受け入れた方が収益率が高いという情報があれば、投資家はみんな反応し、ペットの受け入れを議論するようになる。それは、中村さんの夢を叶える大きなステップの1つとなるかもしれませんね。一度、星野リゾートでもペット同伴可能な部屋の収益性などのデータをとってみたいと思います。何はともあれ、中村さんがやられていることは先が明るいと思います。中村 ありがとうございます。私はこれからも「世界中のどこにでも愛犬たちと共に」を会社スローガンに、必ず未来の愛犬旅行を変えて見せようと考えています。うに説明ができないのが現状ですね。この現状の壁を乗り越えていくには、社会的な認識がポイントかもしれません。例えば、公共機関をバリアフリーにしていく動きは、高齢者に対しての社会的意識の高まりからだと思います。ペット先進国と言われているヨーロッパでは、そういう意識や基準があるのでしょうか?中村 深く調べたわけではありませんが、日本はお金さえ払えばペットを飼えるけれど、他の国では飼い主の年収や住環境などが確認されます。さらに、生後何カ月以内にこういう教育をしてくださいという決まりがあったりする国もあるそうです。星野 しつけですね。そうならば、決まりをつくるなど、犬を飼ったことがない方々の理解が得られるように社会的な運動が大事になると思います。ペット同伴であることの自由を大事にしようという認識が社会的にましていけば、ウェルカムしたいというリゾートや旅館がどん「界 鬼怒川」のペットルームには専用の47㎡と広々したドッグランが併設。足洗い場も完備していて、快適に過ごすことができる。中村 貴徳ペット同伴は高くて当然。この意識改革が飼い主側にも必要1991年に先代より星野リゾートを引き継ぐ。1993年、企業ビジョンを「リゾート運営の達人」と設定し、運営に特化したビジネスモデルに転換。現在、「星のや」「界」「リゾナーレ」を展開し、その他の個性的な施設を含め36施設を運営している。「(愛犬の)大将を長生きさせて」。母親の遺言から、2009年、大将18歳8ヵ月の時に日本一周を達成。ペット専門旅行会社トラベル・ウィズ・ドッグと、オリジナルペットカート「マザーカート」の販売を手掛ける一方、2014年にはハワイに米国法人「ホノルルドッグコンシェルジュ」を立ち上げ、愛犬と行くハワイ旅行のサポートを開始している。Yoshiharu Hoshino星野 佳路氏中村 貴徳氏星野リゾート代表取締役社長トラベル・ウィズ・ドッグ代表取締役社長Takanori Nakamura
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